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べにーのDoc Hack

読んだら博めたり(読博)何かに毒を吐いたり(毒吐)する独白

サイチン1500

吐露

『<最低賃金>「全国一律1500円に」 バイト生活綱渡り 市民団体呼びかけ、新宿でデモ /東京』

毎日新聞 2015/12/15)

 

以下引用。

 

 

「「父は寝たきりで祖母も高齢。高校時代、家族で唯一働ける僕のバイト代は時給850円だった」。非正規雇用が労働者の4割を占める中、そうした人々の生活に直結する最低賃金を現在の平均798円から全国一律で1500円に引き上げるよう求めるデモが13日、東京・新宿であった。中心メンバーで法政大4年の岩井佑樹さん(22)は、アルバイトで家族の生計を支え一時は進学も諦めかけた体験から、活動を続けている。

 

(略)

 

同居の祖母が預金などから授業料を出してくれ中退は免れたが、父と祖母の年金では生活費と大学進学の費用を賄うことはできない。「貧困って、こんな普通になってしまうんだ」と衝撃を受けた。父の介護の傍らコンビニ店でアルバイトを始めた。

「高校生だから」と時給は募集金額より100円低い850円。午後10時までのシフトなのに、次に入るアルバイトが遅刻すると度々、到着まで30〜40分ただ働きさせられた。18歳未満は法律で深夜労働が認められないことを盾にされ「タイムカードだけ切っといて」と言われた。

それでも70万〜80万円をため、奨学金を利用して大学に。別のアルバイトで生活費を稼いだが、父の病状が悪化しても入院先がなかなか見つからなかったり、祖母が骨折で入院したりして、綱渡りで暮らしてきた。

そうした中で、高卒や高校中退で働く同年代と交流を深め、労働法制を無視した働き方を強いる「ブラックバイト」に対抗しようと、大学2年の頃から活動を始めた。最低賃金の低さが働きにくさに影響している」と考え、今秋、学生らで市民団体「AEQUITAS(エキタス=公正を意味するラテン語)」を結成した。

エキタス主催の13日のデモには、雨の中、約500人が参加。岩井さんは労働問題に関心が高まっているのを実感した。米国では同様の市民運動を受け、最低賃金を時給15ドル(約1800円)に引き上げる動きが広がる。岩井さんは「皆が普通に生活できる社会を実現したい」と意気込む。」

 

 

「「貧困って、こんな普通になってしまうんだ」と衝撃を受けた。」……そういう国になっていくと思います。

なんとかしておかないと、とは思いますが、個人単位ではなく国家単位で見れば、いずれ衰退の時期はくるもので、その時期を遅くできるのか、何か起死回生の回避策でも出てくるのか(出ないでしょう)。

この国は、いい思いをしたんです。

 

 

とはいえ、「「高校生だから」と時給は募集金額より100円低い850円。午後10時までのシフトなのに、次に入るアルバイトが遅刻すると度々、到着まで30〜40分ただ働きさせられた。18歳未満は法律で深夜労働が認められないことを盾にされ「タイムカードだけ切っといて」と言われた。」……というのは許せないですね。

対価は正当に支払われるべきです。

 

 

「「最低賃金の低さが働きにくさに影響している」」……それだけではないとは思いますが……一つの考え方としては、ありでしょう。

個人的には、最低賃金はそうほいほいと上げられるものではない、と思っているのですが。

現時点で、社長やら経営者がとりすぎだ、というのは確かにそうなのかもしれません。

儲け過ぎても、使ってくれればまだましですが、使わない人は困りますね。

 

 

「米国では同様の市民運動を受け、最低賃金を時給15ドル(約1800円)に引き上げる動きが広がる。」

 

↑のことをちょっと調べていたら、

 

 

最低賃金1800円条例が次々可決される米国、施行された都市では何が起こっているのか』(2015/7/29)

bylines.news.yahoo.co.jp

 

↑という記事が一発目でヒットしました(複数の記事を読み比べて分析したいところですが、致し方ありますまい)。

 

 

以下引用。

 

 

「(略)

施行された都市では何が起こっているのか

これら大都市ではいずれも施行は数年後ですが、シアトル空港があるシータックという人口2万7千の小さな町では、他都市に先駆け、昨年1月から客室100以上のホテルや従業員数25人以上の駐車場・レンタカー会社等の最低賃金が15ドルに引き上げられています。

施行前には賃上げによる失業率の増加が懸念されていましたが、施行後1年半以上が経ち、大きな混乱は起こっておらず、むしろ失業率は施行前の6.5%から現在4.6%に改善されています(U.S.Bureau of Labor Statistics)。

ワシントンポスト紙によると、町内のあるホテルでは、賃上げの代わりに、これまで従業員向けに無償で提供していた食事や駐車代などを有料にするなど福利厚生面での相殺を検討しているとのこと。ある駐車場運営会社では、「生活賃金料」を顧客への駐車代に上乗せすることで対処しており、懸念されていた業務の自動化や従業員の解雇は行われていないそうです。

一方、別のホテルでは、夜間のフロント係や保守係など15人の従業員を解雇したり、人件費のかかる併設のレストランを閉鎖してカフェに転換、宿泊料金を10%値上げするなどで対応しているとのこと。但し、賃上げ以降、採用募集への応募が急激に増えており、今後は経験豊富な人材の雇用が期待されているそうです(Seattle Times)。

また、今年4月に11ドルに引き上げられたシアトルでは、17年の施行を待たずに15ドルに引き上げたレストランもあるようです。このレストランでは、代わりにメニュー価格を21%引き上げ、チップを不要にしています。そのため、これまでチップにより時給27ドルを稼いでいたウエイター・ウエイトレスやバーテンダーの収入が下がり、調理場スタッフやバスボーイ(食べ終えた食器を下げる係。移民が多い)などの収入が上がり、同じレストラン内での格差がなくなっているようです(FOX)。

今年3月に12.25ドルに引き上げられたカリフォルニア州オークランドでも、同様の値上げやチップ廃止などで対応していますが、規制に気付かずに、あるいは気付かぬフリをして規制前の時給を通す企業も少なくないようです(SFChronicleなど)。

いずれも中小企業ですが、経営努力により賃上げの影響を回避できているようです。

税金で支えるファストフード店員の生活

一方、最低賃金問題で矢面に立たされている大企業の代表格ファストフードでは、また別の問題が指摘されています。

カリフォルニア州立大学バークレー校教授らの調査によると、ファストフード労働者の半数が健康保険や食事補助など何らかの公的支援を受けており、総額は全米で年70億ドルに上るとのこと。これを受け、ニューヨーク州のアンドリュー・クォモ知事は、ファストフード企業は経営者の給与が非常に高く、多額の利益を出している一方で、従業員の給与を低く抑え、税金で従業員の生活費を賄わせていると批判しています。

しかしながら、ファストフード業界は近年、直営店のフランチャイズ化を進めており(WSJなど)、最低賃金引き上げの影響は、経営者や企業本体よりもフランチャイズ店オーナーが強く受けると見られています。

シアトル市内のファストフードチェーン、サブウェイのフランチャイズ店では、時給を11ドルに上げる代わりにメニュー価格を4%上げています。4ドルのサンドイッチを4%値上げすると、4ドル16セント。今のところ大きな影響はないようですが、時給15ドルが施行されれば更なる値上げが必要になるため (10%値上げで4ドル40セント、25%で5ドル)、フランチャイズオーナーは顧客の反応を心配しています(FOX)。

国際フランチャイズ協会は、昨年の条例可決後にシアトル市を提訴しています。ニューヨーク州でも、ファストフード店フランチャイズオーナーが、一業界だけの規制は不公平と訴訟の準備を開始しているようです。

これまでのところ、賃上げ分を商品・サービス価格に上乗せして顧客に転嫁するケースが多く、ニューヨーク州知事が主張するような、高所得経営者の給与や大企業の利益を低賃金労働者に分配するという方向にはなかなか進まないかもしれませんが、労働者の生活賃金確保という点では多少なりとも効果は見られているようです。

数年後に多くの都市で施行されるまで成否はわかりませんが、悪化する国内格差問題に何かしらの対策は必要ですから、最低賃金15ドル政策の今後の展開が注目されています。」

 

 

「施行前には賃上げによる失業率の増加が懸念されていましたが、施行後1年半以上が経ち、大きな混乱は起こっておらず、むしろ失業率は施行前の6.5%から現在4.6%に改善」……おお、アメリカでは成果が出ているようですね。

失業率が改善しているのは好ましいです。

働く人が増えれば、税収が増えます。

ただ、就業形態がどうなっているのか、というのは疑問です。

結局非正規だったり、労働時間を調整されて短時間労働になっていたり、だと最低賃金をあげてもあまり意味がないような気がしますので。

 

 

「賃上げの代わりに、これまで従業員向けに無償で提供していた食事や駐車代などを有料にするなど福利厚生面での相殺を検討している」

「生活賃金料」を顧客への駐車代に上乗せすることで対処しており、懸念されていた業務の自動化や従業員の解雇は行われていない」

「夜間のフロント係や保守係など15人の従業員を解雇したり、人件費のかかる併設のレストランを閉鎖してカフェに転換、宿泊料金を10%値上げするなどで対応している」

 

対応方法は企業でそれぞれ、といった感じですね。

福利厚生を切る、解雇、業態転換、値上げ。

 

 

「このレストランでは、代わりにメニュー価格を21%引き上げ、チップを不要に」

「チップにより時給27ドルを稼いでいたウエイター・ウエイトレスやバーテンダーの収入が下がり、調理場スタッフやバスボーイ(食べ終えた食器を下げる係。移民が多い)などの収入が上がり、同じレストラン内での格差がなくなっている」

 

そうそう、アメリカはチップの国なんだ、ということを忘れていました。

チップを得られるかどうか、で格差が生まれるのは不公平感が強いのは否めないですね(日本には、そういったことがほぼありませんが、それでも時給は低い、ということなんでしょうね)。

 

 

いずれも中小企業ですが、経営努力により賃上げの影響を回避できている」

 

さて、日本の中小企業にこういった体力があるのかどうなのか、というのが私にはさっぱりわかりません。

どこかやってみたらいいんじゃないでしょうか。

 

 

「ファストフード企業は経営者の給与が非常に高く、多額の利益を出している一方で、従業員の給与を低く抑え、税金で従業員の生活費を賄わせている」

 

日本は基本的には皆保険ですので、医療費はそもそも税金で(7割近く)賄われています。

児童に対する医療費を無料にしている自治体も多いでしょう。

賃金が上がれば、納める税金や保険料も上がりますので、予算を他に回せるようになるのかもしれません。

 

 

「サブウェイのフランチャイズ店では、時給を11ドルに上げる代わりにメニュー価格を4%上げています。4ドルのサンドイッチを4%値上げすると、4ドル16セント。今のところ大きな影響はないようですが、時給15ドルが施行されれば更なる値上げが必要になるため (10%値上げで4ドル40セント、25%で5ドル)、フランチャイズオーナーは顧客の反応を心配しています」

 

……うん、まあ経営者ならそうするでしょう。

不況で売り上げが落ちたから経営者の賃金を下げる、好況で売り上げが上がったからバイトの賃金を上げる、という話ではないですからね。

財源をどこかに準備しなければならないです。

人間は、「損失を回避する」ように動く動物ですから、経営者は自身の「損失を回避する」ために、価格を上げます。

 

まさか、世の中の経営者がみんな、「自分の儲けを捨てて、社員の給料を上げよう」、と考えるなんて思っていませんよね?

 

だったら平和でしょうけれど、市場は回らないような気がします。

で、おそらく値上げしますが、日本ではどんな反応が起きるんでしょうか。

給料が上がれば、案外平気なのかな。

昇給スピードを今よりもっと下げる、という手段が使えるようになるかもしれませんね。

 

 

 

で、前にも書きましたが、病院や介護職などは、公的資金が源泉で、報酬単価は決まっていますので、最低賃金が上がったからといっておいそれとそれに応えることは難しいです。

ただ、病院には専門職が多いですし、介護職にもしても、実際の時給はわりと高い方です。

問題は、それでも看護師の給料は安いし、介護職の給料はもっと安い、ということなんですけれども(勤務医の給料だって、たぶん高くはないですよ)。

今の報酬単価で、1500円の最低賃金を保証することが可能なのかどうなのか……医療はなんとかできても、介護は難しそうですね。

難しければ、報酬単価を上げるしかなく、ということは保険料が上がります。

賃金が上がった分、よりも上げてくるかもしれません(国民全員に対してですけれど)。

さて、暮らしやすくなるのかどうなのか……。

 

 

正職員になったら、月給になります。

月給になると、明らかに手取りが減ります(その分、ボーナスがつくことがあります)。

時給で「これでもか」と働いていた時期のほうが、給料が多かったりするんですよね……安定というのはしばしば損失を伴うものですので、致し方ないですかね。

 

 

個人的には、大学までは無償でもいい、と思ったりしています。

ただし、入ったら勉強したり、技術を身につけたりしてもらう、という条件ですが(なので、出口を狭くします)。

どこかで格差が生じる、というのは致し方ないのです(格差があっても、生きていければいいわけで)。

 

 

ところで、最賃1500円になったら、障害者を最賃除外で雇っているところなんかはどうなるんでしょうかね。

 

 

 

(元記事)

http://mainichi.jp/articles/20151215/ddl/k13/010/103000c