べにーのDoc Hack

読んだら博めたり(読博)何かに毒を吐いたり(毒吐)する独白

映画『星籠の海』

www.mitarai-movie.jp

 

シリーズ累計で550万部しか売れてないのか……とふと思ってしまった私。

『水晶のピラミッド』から島田荘司ワールドに侵入した私は、『異邦の騎士』『占星術殺人事件』『斜め屋敷の犯罪』『暗闇坂の人食いの樹』と進み、この辺りから御手洗シリーズから吉敷刑事シリーズにも手を伸ばし、『奇想・天を動かす』やらなにやら……もちろん『アトポス』『龍臥亭事件』『魔神の遊戯』、ノンシリーズでは『帝都衛星軌道』なんかも面白く読んだりしております、筋金入らずの島田荘司ファンです。

常々、島田氏は「御手洗をやる役者は日本人にはいない」的なことをおっしゃっておられましたが(うーんと、もう20年位前の話かな……)、それが映像化されるということで、どんなもんやねんと気になっていたのにもかかわらず、テレビドラマは見逃す、という。

玉木宏さんは愛知県出身ということで、ちょっとだけ親近感があります。

なるほど、作り物めいたイケメンですが、私の御手洗イメージはもうちょっとエキセントリックなんですよね……『占星術ー』とか読みますと。

多くの御手洗ファンがどう思われたのかはわかりませんが。

脳科学者に仕立て上げたのも、現代で御手洗ものをやるためには致し方ありますまい(実際、小説の中の御手洗潔は、もはや何者なのかよくわからない存在ですが、一応学者っぽいフリをしているときには脳科学のことを語っていますかね……)。

さて、そんな御手洗シリーズ、映画化するということで、

 

『星籠の海(上)(下)』島田荘司 - べにーのDoc Hack

 

↑とりあえず原作を読み、

 

最近の漫画読み - べにーのDoc Hack

 

↑漫画版も読み(連載中ですから、完結はしていません)、万全を期して映画を観てきました。

原作からの改変部分についてはいろいろご意見もありましょうが、原作そのままをやるわけにはいかないので(話がごちゃごちゃしていて映画にはならないと思う)、あんな感じのすっきりさはよろしかったのではないかと。

といいつつも、これはプロットの問題だと思いますが、もうちょっといい感じの伏線を張ってもらえるとなぁ……海獣騒ぎが、やっぱり単なる海獣騒ぎになってしまっているのがとても残念でございます(あれを、もうちょっと有機的なプロットにできていれば、タイトルも含めて幻想的になったのではないかと思うのです)。

全体通して目立ったのは、広瀬アリスさんでしょうか。

演技力はともかく、なんかエロかったのでよしとしましょう(?)。

御手洗はなぁ……もうちょっと意地悪でもよかったような気がしますですよ……及第点ですかね(偉そうに)。

原作のプロットも大概なものなんですが、「星籠」に絡む部分ではもっと事件が起きていますので、そう考えるといっそのこと、石田ひかりさん演じる学者の部分はばっさりカットでもよかったのかもしれないですね(うーん……化学薬品会社のネタをもうちょっと早くから振っておくべきだったのではないでしょうかね……あと要潤さん演じる青年のあのシーンとか……それは回想シーンだけじゃだめでしょう、どうにかして同時進行に見せておかないと)。

おっと、書き始めると文句の方が筆が滑りますな、やめておきましょう。

 

 

非常に残念だったのは、原作でも、漫画版でも登場した、瀬戸内海の海流モデルの巨大模型が、今ではすでに使われていない、という事実でした……御手洗が実際にあれを「ああでもないこうでもない」と言っている姿が見たかったなぁ……。

 

”大”横溝正史氏は、出身地である岡山の物語をたくさん書いておられますが、島田荘司氏も『龍臥亭』以降瀬戸内海沿岸を舞台にした物語がちょくちょく出てきます(どこが舞台だってあんまり変わらないのかもしれないですが)。

「時計仕掛けの海」。

古代史好きにとっても、瀬戸内海は魅惑の海です。

 

平日だったせいか、客が私ともう一人だけでした……やっぱり次は『斜め屋敷の犯罪』だよな……。

あの一言で、日本中を唖然とさせてしまいましょう!!