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べにーのDoc Hack

読んだら博めたり(読博)何かに毒を吐いたり(毒吐)する独白

『タイムマシンのつくりかた』ポール・デイヴィス

 

タイムマシンのつくりかた (草思社文庫)

タイムマシンのつくりかた (草思社文庫)

 

 

夏休みの自由研究にまだ間に合う薄い本シリーズ。

ほのぼの日常系SFライトノベルを思わせるタイトルですが、中身はかなり本気な内容です。

第1章「未来への行き方」では、「高速移動を使う方法」「重力を使う方法」が提起されます。

一方で「ほんとうに時間を操作できるのか」「なぜ光よりも速く動けないのか」「まだ存在しないはずの未来へ行けるのか」といった、相対性理論的な話から、哲学を包含した話も展開されます。

第2章「過去への行き方」では、「ワームホールがタイムマシンになる!」として、我々が一般的に思い浮かべる「空間の歪んだ穴」が提起されます。

そこから、「まずはブラックホールの基礎知識から」「ワームホールとは何か」「「時空」について学んでおこう」「シュヴァルツシルトワームホールの問題点」といった、SFファンなら当たり前〜な知識を通過して、「人間が通れるワームホールは建造可能か」と題し、最も可能性が高いのはワームホールを利用してタイムマシンを作ることだろう、ということになります。

そして第3章「タイムマシンのつくりかた」で実践です。

 

「ステップ1=衝突器で一〇兆度の高温を作る」

「ステップ2=圧縮器で高温の塊を圧縮する」

「ステップ3=膨張器で負のエネルギーを注入する」

「ステップ4=差分器で時間差を作る」

 

これでみんなもタイムマシンを作れるはずだぜ!!

 

……まあ、一〇兆度の高温を作ることに成功すれば、タイムマシンを作るよりも別のことができそうですけれども。

 

第4章は「タイムマシンに関するQ&A」です。

タイムパラドックス、並行世界など、お約束の数々について解説がされています。

そして、「なぜタイムマシンを研究するのか?」という質問に対する答えが、なるほどエレガントだな、と思います。

薄くて高い本、という意味では、ビッグサイトや「とらのあな」に並んでいる本に匹敵するものがありますが、ここで得られる示唆は膨大です。

是非とも、夏休みの自由研究に役立ててください(なお、大人の夏休みには、残念ながら自由研究は求められていませんのであしからず)。

 

 

相対性理論が記述するのは時計におよぼす運動と重力の影響であって、時間そのものではない、と反対する人もいる。しかし、これは誤解だ。時計は時間を測るものである。もし、あらゆる時計(時間の個人的な知覚を支配する人間の脳をふくめて)が等しく遅れれば、時間そのものが遅くなっている、とのべるのが正しいのである。なぜなら、なんらかの種類の時計によって測ることのできるもの以外に、時間は存在しないからである。」(p40)