読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

べにーのDoc Hack

読んだら博めたり(読博)何かに毒を吐いたり(毒吐)する独白

『アマゾニア(上)(下)』ジェームズ・ロリンズ

 

アマゾニア (上) (扶桑社ミステリー)

アマゾニア (上) (扶桑社ミステリー)

 

 

 

アマゾニア (下) (扶桑社ミステリー)

アマゾニア (下) (扶桑社ミステリー)

 

 

終わっていませんでした、一人ロリンズ祭り。

まあ、次の<シグマフォース>ものは、2016年内には邦訳されるそうですから、それまでのつなぎといいますか。

ノンシリーズでも、滅法面白いのがロリンズです。

『アイス・ハント』が邦訳ノンシリーズものとしては最初なのですが、アメリカでの刊行はこちら『アマゾニア』の方が先です(2003年のことだとか)。

 

 

アマゾン川流域のある布教区に、ジャングルの奥地から男がさまよい出てきた。

派遣されていた神父は彼を助けようとするが、その男の胸に刻まれたタトゥーを見ると、現地のヤノマミ族は「血のジャガーの一族の奴隷にされた男」だから助ける必要はない、死んだら夜明けに焼くようにと告げる。

確かに男は、とても助かりそうになかった。

それでも神父は手当てを続けると、男がしゃべらないわけがわかった。

舌を切り取られていた。

やがて男は息を引き取り、神父は男の残したものを見て驚愕する。

そのIDには、「アメリカ合衆国陸軍特殊部隊」と刻まれていた。

 

軍人がジャングルから出てきたことはすぐに本国に報告された。

そこで、陸軍、CIAのお偉方はありえないものを確認する。

ジャングルから出てきた男は、数年前に行方不明になっていたが、彼が特殊部隊を辞したのは、ある作戦で左腕を失ったからだった(といっても表向きのことで、彼はCIAの工作員となって、ある部隊に潜入していたのだが)。

しかし、報告されたその死体には、両腕がそろっていた。

その原因をつきとめるべく、部隊が編成されることになる。

 

アマゾン流域で活動する民族植物学者ネイサン・ランドは、ある事情からヤノマミ族の少女を連れてサン・ガブリエルへやってきた。

医師はいなかったが、別の任務で当地へやってきたらしい、軍属のケリー・オブライエン医師が診断をする。

その診断に納得できないネイサンは、旧知の仲で、言語学者のコウエ教授(ベネズエラ居住のシャーマンでもある)の助けを借りて、少女を助けることに成功する。

一息ついていたところに、国立インディオ財団サン・ガブリエル支部長で生物学者のマヌエル・アゼヴェドが声をかけてくる。

どうやらアメリカ軍が部隊を組織して、ジャングル奥地で何かを探すらしい。

その最初の一つが、アマゾン流域の植物の専門家にして、かつてアマゾンのシャーマンたちの英知を採集してその知的財産権を守るべく設立されたエコテックの創始者の息子であるネイサンだった。

彼の父は、数年前にアマゾン奥地へ入り、戻ってこなかった。

必死の捜索でも、アマゾンを探し尽くすことなどできはしなかった。

それが、ジャングルを熟知したネイサンであっても。

今回のアメリカ軍部隊は、ネイサンの父の足跡をたどり、可能であれば彼らが探したであろうものを見つけ出そうとしている。

ネイサンは、父は死んだものとして、過去を封印していた。

しかし、希望が見つかったのだ。

ジャングルから出てきた軍人、なかったはずの腕が再生していた軍人は、ネイサンの父の探検隊の一員だったからだ。

 

 

と、こうしていつもながら、偏っていながらも超絶なインテリ達がチームを組んで、未知なる冒険に挑むわけです。

一つの舞台はもちろんアマゾンなんですが、もう一つがヴァージニアの研究室。

こちらでは、ジャングルから出てきたアメリカ軍人の遺体の研究が行われているのですが……。

ツンデレの男と女、冷静沈着な高齢科学者、たくましい軍属の女性、頭の線が何本か飛んでいる天才的な悪役と、それに付き従う謎の(残虐)美女……とまぁ、ロリンズワールド全開なのが嬉しいです(というか、<シグマ>よりこっちが先なんですよねぇ……あえてステレオタイプを作っている、というところでしょうか)。

『アイス・ハント』の極限状況では、現れる怪物が一種類(とコワルスキ)でしたが(洗練された、ともいえます)、こちらはわんさか出てきます。

さらに奥地に進んでいくと……読んでいただきたいと思います。

そうですねぇ……<シグマシリーズ>は失われた文明寄りですが、『アイス・ハント』といい本作といい、自然が相手なので、なんとも解決しようのないシーンの連続で、結構疲れます。

ここまで話を展開させられる筆致と、アクションシーンの説得力、それから動物。

動物がねぇ……ずるいですよねぇ……あ、『ジャングル・ブック』がフルCGでできるんだから、ロリンズも全然映画にできますよ、ハリウッドさん(予算がつかないかな……)。

ともかく、洗練される前の、がっつり詰め込みましたロリンズさんが楽しめますので、是非とも。

 

 

「じゃ、虫対策はどうしたらいいのかしら?」

ネイサンは、口許を歪めて苦笑し、肩をすくめた。「まあ、諦めるしかない。無視するのさ。どうせ勝ち目のない戦いだからね。ここは食うか食われるかの世界で、犠牲を払う以外にない、てこともままあるんだ」(p148)

 

 

なんか、最近他にもこんなのを引用したような気がします……。