- 作者: ジョンジョーマクファデン,Johnjoe McFadden,斎藤成也,十河誠治,十河和代
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 2003/09
- メディア: 単行本
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トンデモ科学系かな〜と思って買って、5年以上放置してありましたが、最近脳関係の本を読んでいるので、思い出して引きずりだしてみました。
真面目な本でした(謝)。
第1章「生命とは何か」。
アリストテレスから始まって、主に西洋の生命の解釈が紹介されています。
キーワードは「方向性のある作用」。
第2章「生命の限界」。
生物の構成原子から、極限状態での生命(暑い、寒い、暗い、空気がない、メタンのガスの中……)について紹介されています。
地球外生命の可能性にも触れられています(がもちろん、知的生命云々というところまではいきません)。
第3章「生命の偉業」。
親と子が同じような形質を備えていること(遺伝)、何かしらの原因で生命の形質などが変化すること(進化)、遺伝子。
「しかし、複製における誤りの原因のひとつは避けられないものだ。なぜなら、それはDNAコードに本来備わった量子的な性質だからである。」(p101)
この辺りから仮説がはじまっていきます。
第4章「われわれはどのようにしてここにたどり着いたのか」。
進化に関する話題です。
原始的な生物(なのかどうかはともかく)からどのように変化していったのか、宇宙からの影響があるのか、人間原理。
「……この繁殖方針を続ければ、たった九世代目にはWHIO'S THERE(そこにいるのは誰だ)という最初の一行をきちんとタイプするサルが生まれる(句読点を加えるのはわれわれの仕事だ)。この繁殖プログラムを続けることによって、各世代に約10年かかるとしても、たった三〇万年後にはハムレット全文をタイプできるシェークスピア・モンキー種をつくることができるのだ!」(p106)
第5章「生命の作用」。
極めて普通に、化学、生物、物理で習うような情報で、例えば筋肉を動かしてボールを蹴るというのはどういうことなのか、ということが説明されています。
非理系の私にはかなり難解な部分ですが、ニューロンを伝わる電流の話やらを考える上では基本的なことだったりするので、興味深く読めました。
第6章「何が生命のからだを動かしているか」。
ここでは運動についての解説がされています。
フランケンシュタインでおなじみガルヴァーニ電流や、熱力学、力の方向性、マクスウェルの悪魔などなど。
どんどん難解になってきます(汗)。
「ボールはなぜ動くのか? 簡単に答えれば、靴がボールを押したからだ。だが、これはどういう意味だろうか? 素朴に考えれば、ある程度の速度で振り下ろされた靴が静止したボールと接触し、なおも動き続けてボールを押し、ボールがひとりでに動くのに十分な速度を与えたということになるのだろう。この筋書きの問題点は、われわれの靴とボールは実際にはけっして接触しないということだ。靴とボールの原子や分子が近づいていっても、それらが本当に接触することはない。それでは、どうやって押しているのか?」(p173)
↑この話が一番面白かったです。
第7章「量子力学とは何か」。
第8章「測定と存在」。
第9章「それはいったい何を意味するのか」。
この辺りは、量子力学に関する一般的な内容です。
光子がスリットを通り抜ける、という例の実験に関しては、かなり丁寧な説明がされています(それでわかるかどうか、はまた別ですけどね)。
第10章「生命の誕生」。
いよいよもって、化学、生物、物理の知識がないことにはついていけない領域に入ってきます(いえ、とっくについてはいけていないのですが)。
化学反応は、われわれから見ればかなりミクロなサイズで起こっていることですが、量子サイズからすればマクロなものでしょう。
しかし、どこからが古典物理学で、どこからが量子力学の範疇なのか。
量子はいい、では原子は?
分子は?
ある程度の大きさのアミノ酸なら?
うーん……頭が割れそうに痛い(?)。
第11章「量子細胞」。
第12章「量子進化」。
もうついていけない……。
第13章「心と物質」。
「被験者は、筋肉の動きが記録される時間よりも約二〇〇ミリ秒前に動くことを意識的に決めたことを示した。このタイミングは、われわえrが意識的な動作をしようと決めた時刻から、適切な運動神経が発火する時刻までに通常二〇〇ミリ秒の遅れがあることを示す。しかし、もっと驚くべきことにリベットは、自発的な行動にかかわる脳内のニューロン作用を、被験者が動くと決めた時刻よりも決まって三〇〇〜四〇〇ミリ秒(二分の一秒近く)も前に検出したのである。この明らかに自発的な動作は、被験者が行動を意識的に決めたと思うよりも前に始まっていたのである。」(p391)
よく言われる、「動く」と決めてから、実際に「動く」までのタイムラグの話です。
その「動く」と決める前に、脳内ニューロンは「動く」という指令を出している、というのです。
さあ、わからなくなってまいりました(笑)。
人間の自由意志、心と神経などに関する話なので、いろいろともやもやすることも書かれています。
(私にとっては)難解な内容が、理系の各分野にまたがって(ということは、理系の根っこは同等のものだということでもありますが)展開されているので、まぁ理解できずに読み飛ばした部分の多いこと多いこと。
ただ、読んでいるときは抜群に面白かったんですよねぇ……不思議なことに。
この話をいくら理解したところで、何かに活かせるわけではない、という自分の頭が残念です。
こういったことを理解できる頭ってなんなんでしょうねぇ……数学を生き生きと理解できる人がうらやましい。
ハードカバーの、結構な厚さの本にしては、お値打ち(1800円)なのもオススメです〜。