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べにーのDoc Hack

読んだら博めたり(読博)何かに毒を吐いたり(毒吐)する独白

「古代世界の超技術』志村忠夫

読書

 

古代世界の超技術 (ブルーバックス)

古代世界の超技術 (ブルーバックス)

 

 

帯に、「ベストセラー『古代日本の超技術』待望の姉妹編」と書かれていて、「買う順番を間違えた……」と、読み終えてから思いました。

構造物とか、建築物とか、そういうものに興味がありまして。

ちょいちょいとこっち関係の本を読んでいます。

いえ、ミースの建築がどうだこうだ、という本を読んでも私には哲学的(?)すぎてよくわからないもので……基本的な本を読まないとね、ということで。

巨大な建築物を、現代まで崩れないように作ることができた理由というのはよくわかりません。

が、「現代の技術でも無理なのに、古代人にそんなものが作れるものか」というのはおかしな話で。

何しろ、時間はたくさんありますから、がんばればできたんじゃないのか、と思うのです。

現代に近づくにつれて、人間の時間は個人に属していきますから。

 

定番のピラミッドから、古代ギリシャの発明の数々、古代ローマのコンクリート、メソアメリカ・アンデス文明の石組み技術、の4つの章で構成されています。

天然ダイアモンド結晶の理想形は正八面体で、どうやらシリコンの結晶もある条件下ではピラミッド型になるそうで、何かしら物理的に安定する形状だから、ピラミッドの形はああなったのではないか(崩壊したピラミッドがあることから、四角錐が何かしら意味のある形で、あとは崩れないように底面と高さと角度を調整したのではないか、と考えられる)。

ところでどうやらピラミッドは、横面の三角形が垂線に向かってほんの少しくびれており、実は変形八角錐らしい。

うーん、書いていてさっぱり理解していないことがわかります。

よく言われるピラミッドの謎の中に、ピラミッドのある長さの中には円周率が隠されている(らしい)のだが、実は「計測輪」という(現代のマラソン大会などでも使用される)輪のついた距離計測機が使われていたらしいので、そりゃ計算すりゃ円周率も出てくるだろう、とか。

石材の切り出しの謎、運搬の謎、積み上げの謎、クレーン(のような起重装置)や滑車は使われたのか、等等。

 

「もし、実際にスフィンクスが砂に埋まって見えなかったのであれば、ピラミッドの低段部、少なくともスフィンクスの肩の高さくらいまでは砂に埋まっていたと考えるのが妥当であろう。だとすれば、ヘロドトスが見たピラミッドは、私たちが現在、スフィンクスとともに見るピラミッドよりもずっと小さかったはずである。

ところが、ヘロドトスは「ピラミッドの各辺の長さは237メートル」と『歴史』に書いている。この「237メートル」は現在、私たちがスフィンクスとともに見るピラミッドの大きさとほとんど同じである。」(p38)

 

 

「基本的にピラミッドは採石場の中に造られたのである。」(p45)

 

「いずれにせよ、エジプトでは木材は貴重品だったから、使用ずみの木製コロは他のものに転用されもしたであろう。」(p54)

 

「私は、望月氏に「石というと、みなさん”重たいもの”という印象を強くもたれていますが、そんなに重いものじゃあないんですよ。たとえば、アルミニウムというと、第一感では”軽い”と思うのではないですか? しかし、アルミニウムの比重は二.七二で、石灰岩よりも、一般的な花崗岩よりも重いのですよ」といわれ、まさに「目から鱗」であった。」(p72)

 

 

 

古代ギリシャ編では、ファロスの大灯台パルテノン神殿、超天才アルキメデスの技術力(というか妄想実現能力、については『ヒストリエ』を読むとわかるんでしたっけ……あれ違ったかな……)、最先端過ぎたヘロン、アンティキテラの古代コンピュータ、などなどが紹介されています。

 

「ところで、前述のように、アテネアクロポリスの丘のパルテノン神殿は、一六八七年のフランチェスコ・モロシーニ指揮下のヴェネツィア軍の蛮行によって部分的に破壊されてしまい、往時の全容を見ることができないのであるが、アメリカ・テネシー州ナッシュビルに行けば原寸大のレプリカを見ることができる。」(p93)

 

そういえば、『世界!ふしぎ発見』で、このナッシュビルパルテノン神殿に、マッピングで色を再現する、というロケがありましたっけ。

あれはなかなか面白かったです。

 

古代ギリシャのリアル

古代ギリシャのリアル

 

 

↑こちらもご参照。 

 

 

古代ローマに関しては、

 

 

でおなじみ(?)、古代ローマにおける建築分野の超まとめ屋、ウィトルウィウスの『建築書』と、コンクリートに関して述べられています。

他、水道橋、共同浴場なども紹介されています。

古代ローマ共同浴場は『テルマエ・ロマエ』のおかげで妙に有名になってしまっていますが……それまでは、ええと、あれ、誰でしたっけ……カ、カ、カラカラ帝だ(よく思い出した)、としか結びつきませんでした……受験知識ってそんなものじゃないですか?

 

「鉄筋コンクリートの老朽化、劣化の原因やメカニズムは単純ではないが(略)、いずれにせよ、直接的原因は鉄筋の腐蝕であり、私は、問題の根源はコンクリートと鉄筋という相性がよくない異物質の組み合わせにあると思う。」(p136)

 

「このパンテオンは、無筋コンクリートで建造された世界最大のドームとしても知られている。そして、建造からおよそ二〇〇〇年を経たいまでも完全な姿を見せている。」(p147)

 

「日本を代表するコンクリート工学の専門家で、いまは亡き小林一輔氏が『コンクリートの文明誌』の「あとがき」に書いている「コンクリートの品質の問題は、とりもなおさずコンクリート構造物をつくる土木技術者の脂質の問題であった」「ローマへの実地調査で痛感したのは、現在におけるコンクリート施工技術の基本的部分はローマ時代にすでに確立されていたということである。日本のコンクリート施工の現状を見ていると、この二〇〇〇年の間にいったい何が進歩したのかと問いたくなる」という嘆息が、私にはまことに印象的であり、また悲痛でもあった。」(p165)

 

なんか、『グラップラー刃牙』に似たようなセリフがありましたね。

 

「実際に、ローマ帝国滅亡の一因としてローマ人の鉛中毒を挙げる説があるくらいだが、地中海地方、一般にヨーロッパ大陸の水はかなりの硬水であり、水に含まれる炭酸カルシウムが管内部にすぐ付着(コーティング)することで水道水が直接鉛管に触れることはなかったから、健康上の大きな問題にはいたらなかったと推測される。つまり、「ローマ帝国滅亡の鉛中毒説」は俗説と思われる。

それでも、ウィトゥルウィウスは『建築書』の中で、鉛管よりも清浄な水を供給でき、修繕も容易な陶製の水道管のほうが好ましいと指摘している。もちろん、そのとおりである。」(p174)

 

 

メソアメリカ・アンデス文明については、出てくる用語の耳馴染みのなさと、どの文明がいつ頃なのかさっぱり記憶できないことから、私の中では興味がありながらも未知の領域になっていまして(『ポポル・ブフ』、昔読みましたよ)、バラバラな知識が半端に蓄えらえております。

車輪がないとか文字がないとかキープ(結縄)でいろいろ表現していたとかククルカンとかウィツロポチトリとかシバルバーとかコアトリクエとか、ほら混ざってる。

インカの石組み、カミソリの刃も通らない脅威の精度の出し方については、どんな技術が用いられたのかよりは、どれだけ時間がかけられたのか、によるのではないかと思います。

 

「地球上には、ダイヤモンドより硬い物質は存在しない。もし、加工の道具(物質A)に被加工物(物質B)より硬いことが必ず要求されるのであれば、ダイヤモンドの加工は不可能となり、23ページに登場したブリリアント・カットされた宝石のダイヤモンドを得ることはできない。ダイヤモンドは、ダイヤモンドで加工するのである。

もちろん、加工の道具が被加工物よりも硬ければ、加工の効率が高まることはいうまでもない。また、細かい装飾品の作製や、石碑に文字を刻む際などには、被加工物よりも硬い材質の道具が有効であったろう。それだけのことである。現代社会のように「効率」と「経済性」を重視しない古代世界では、現代人から考えれば気が遠くなるような時間がかかっても基本的に岩石の加工は現地の岩石で行ったのである。」(p194)

 

 

マヤ文明も世界の他の文明と同様、農耕を生活の基盤としていることは共通であるが、旧大陸の「四大文明」とは異なり、鉄器や運搬用の大型荷車をもたなかった。より正確にいえば、結果的にもつ必要がなかったのである。」(p198)

 

「マヤの数学においてゼロ(0)が数表記(記載法)に使われていたのは事実であるから、やはり私は「ゼロ(0)の発見者は古代マヤ人」であり、「それを現代につながる数学の中に位置づけたのがインド人」とするのが正しいと思う。」(p215)

 

各章の末尾には主な参考文献が挙げられており、これらが文中で言及されている場合があります。

こりゃ『古代日本の超技術』を買わないとです。