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読んだら博めたり(読博)何かに毒を吐いたり(毒吐)する独白

『天照大神は卑弥呼だった』大平裕

 

天照大神は卑弥呼だった 邪馬台国北九州説の終焉

天照大神は卑弥呼だった 邪馬台国北九州説の終焉

  • 作者:大平 裕
  • 発売日: 2017/06/12
  • メディア: 単行本
 

 

卑弥呼が何者であるのか、についての論争は長年にわたっており、主要な説はいくつかに絞られると思いますが、著者の言うように「天照大神」と我々が現在認識していると思しき存在だろう、という説には首肯します。

ただ、個人的にですが、昔から、太陽神ではなく、太陽神に仕える巫女が「大日孁」だったのに、どこかで「天照大神」とすりかえられたんだろうなぁ、と考えています。

理由は、はっきりと形にはなりませんが、「天照大神」という名前には素朴さが欠けている、新しい概念だろう、といった印象でして。

 

本書では、邪馬台国の位置を検討しつつ(確か著者は、『暦で読み解く古代天皇の謎』という著作をものしており(既読)、暦法からのアプローチを考えたこともなかったので感心した記憶があります)、「天照大神」の正体にせまろう、というもの、だと思います(記憶が……)。

大陸の文書、『古事記』『日本書紀』、考古学的情報などを網羅して論を展開しているので、まとめてご紹介するのが難しいです。

読んでみたら、当たり前なのですが、「天照大神」というよりは「卑弥呼」、そして邪馬台国の謎に迫る、といった内容で、ちょっとだけ「うーん、思ってたのと違う」と思いました。

 

邪馬台国がどこにあったのか、というのはよくわかりません。

畿内説北九州説論争にも、あんまり興味がないのです。

ヤマタイ」なのか「ヤマイチ」なのか、という昔からある論争も、ん〜という感じ。

魏志倭人伝」に「邪(耶)馬臺国」と書かれている、それは筆写の誤りで「邪馬壹国」と書かれている、という論争ですが。

ヤマタイ」は「ヤマト」なんだろうな、と思います(すいません、「魏志倭人伝」の頃、「邪(耶)馬臺国」がどのように読まれたのか、まったくわかりません……現代中国語の読み方からすれば、なんか、「ヤーマータイ」っぽいですよね、「台北」は「タイペイ」だし。北京語でしたっけ)。

「邪馬壹国」は、「ヤマイチ」、なんでしょうかね……「壹」は「一」の大字で、「壱」の旧字でしたか……「イー」ですかね……「ヤマイ」って国名なんでしょうかね、「山間」とかってことなんでしょうか、「ヤマト」は「山門」とかってところからきているのかもしれませんが、国の名前ですからね、語源をたどってもよくわからないです。

個人的にですが、東海地方から西側一帯が、いずれ大和朝廷と呼ばれる勢力によってだんだんと統一されていく中で、ヤマトという呼称の国があり、それは豪族の連合体みたいなもので、その中に女王国ってのがあって、「卑弥呼」がいたんだな、っていう感じで、「邪馬台国」≠「女王国」、っていう説がしっくりきます。

考古学的知見に関しては、自分で消化しきれないもので、どうやって用いればいいのかがわからず。

天照大神」というか「大日孁」の文化的なルーツは九州にあるのかな、と思いますが、これも記紀神話で、大王に叛乱する九州地方の女傑の装いが、天安河原で「素盞嗚尊」を待ち受けた「天照大神」の装いに似ているな、という印象から思うだけです。

いつも思いますが、なんでまた天孫瓊瓊杵尊」を九州にくだらせちゃったのかなぁ……そんなめんどくさい神話を一からでっち上げる理由がよくわからないのですよね……大和地方にズバーンって降臨させなかったのは、できなかったのか、あえてさせなかったのか……少なくとも、九州全土が大和朝廷と呼ばれることとなる勢力に完全に支配されていたわけではないのは、隼人の反乱だとかがあったわけなので、こりゃ本拠地とかルーツでもないのかなと……朝廷のイメージする高天原はやはり畿内で、そこから「瓊瓊杵尊」を九州に派遣した、ということなのかな……。

ええと、妄想がとりとめなく、歴史的な時系列を無視して続いてしまうので、このあたりでやめておきます。

卑弥呼」は「日巫女」、というのは多分そうだと思います。

「日御子」かもしれません。

太陽神が男性神でなければならない理由はどこにもないので、別に女性神でもいいと思うのですが、まあ、「日巫女」のほうが面白いと思いますので。

うーんと……全然本書の感想を書いていませんが、邪馬台国や古代史についての基本的な知識があれば楽しめると思います。

 

 

 

……そういえば、なんで「火の国」なんだろうな……阿蘇山があるから、というのが定説っぽいですが、「火の国」は「ヒノクニ」で、「ホノクニ」じゃないんだよな……ホノオ、ホムラ、ヒコホホデミ、ホノカグツチ、ホオリ、ホスセリ、ホアカリ……基本、「火」属性の複合語は「ホ」じゃないのかな……ということで、「火の国」は「日の国」、太陽神信仰のルーツとしては九州に痕跡を残している、と考えるのが面白いかとも思います。