べにーのDoc Hack

読んだら博めたり(読博)何かに毒を吐いたり(毒吐)する独白

『神の時空 三輪の山祇』高田崇史

 

神の時空 -三輪の山祇- (講談社ノベルス)
 

 

もうしかたがないんです、好きなんだから。

あ、いえ、高田崇史先生の作品のことです。

QED』シリーズを読んで、日本古代史に妄想するようになってからは、続く『カンナ』シリーズも楽しみ、新シリーズ『神の時空』も面白い。

 

『神の時空』シリーズは、清和源氏の血を引く辻曲家の兄妹が活躍する、不思議ミステリです。

不思議と書いたのは、『QED』シリーズや『カンナ』シリーズと同じ線上に位置しながらも、より「伝奇もの」に近づいているからで。

だから不思議です。

何でもあり、です。

現実に起こる事件はもう、どっちでもいいかな、と『QED』の頃から思っていましたが(そちらの路線は『毒草師』シリーズに受け継がれています)、ますますそんな勢いです。

 

今回は、サブタイトルの通り、「大神神社」が主人公です。

まだ行っていないんですよね、「大神神社」。

奈良はそれほど遠くないので、近いうちに行きたいのですが、今年は休みがとれたら北陸を攻めたいしなぁ……。

大神神社」は苧環(おだまき)型の神話が残るところで(丹塗り矢型もあります)、

 

「見知らぬ男が娘のもとに毎晩通ってくるようになり、その正体を知るべく衣などに糸を通した縫い針をさし、翌日その糸を頼りに行方を探ると正体が知れる」

 

というパターンの奴です(針糸型とも)。

 

日本神話事典

日本神話事典

 

 (※こちらより引用)

 

大神神社」の祭神といえば「大物主神」なのですが、この神の正体を探るのが本作です。

私は妄想好きなので、神社伝承学という怪しげなジャンルも好んでいますが、実際にそういったアプローチで歴史的な事実が解明されることはないでしょう。

ですから、高田崇史先生の作品も、「小説」であることが重要なんだと思います(あ、歴史から逃げている、という意味ではないです)。

黙忌一郎も言っていました。

「探偵小説でしか語れぬ真実もあるんだぜ」、と。

 

 

 

 

え、知りませんか、黙忌一郎?

 

 

 

 

↑の主人公です。

 

 

私も妄想に磨きをかけなければいけませんが、高田崇史先生の作品に依拠するところが大きいので、今後とも応援しています。

 

 

 

「ニャンゴォッ!」

「それなら」巳雨が通訳した。「今ここで噛み殺されても一緒だろうって」

「どっ、どうしておまえはそんなことを言うんじゃ!」(p78) 

 

 

 

「ニャンゴ」と言っているのは、グリという猫です。

忍犬もよかったですが、やっぱり猫ですよねぇ(謎)。