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地球連邦は砂上の楼閣か

『菅官房長官、「言葉遊びに受け取れる」と不快感 国連事務総長国連は中立ではない」発言受け』

(産経ニュース 2015/9/7)

 

以下一部引用。

 

 

菅義偉官房長官は7日午前の記者会見で、国連の藩基文(パン・ギムン)事務総長が抗日戦争勝利70年記念行事への出席で受けた日本政府などからの批判に国連は中立でなく、公平な組織だ」と反発していることに関し、国連は中立で、当然、公平公正なのは当たり前のことだ。何か言葉の遊びをしている感じにさえ受けとれる」と述べた。」

 

 

官房長官の話なので、左右問わず記事になる可能性はあるかと思います。

 

 

国連は中立でなく、公平な組織だ」国連事務総長

国連は中立で、当然、公平公正なのは当たり前のことだ。何か言葉の遊びをしている感じにさえ受けとれる」(日本の官房長官

 

 

○こちら===>>>

中立(ちゅうりつ)とは - コトバンク

 

 

ちゅうりつ【中立】

(1)ある特定の立場・意見にかたよらず,中正の位置にあること。 
(2) 戦争に参加していない国家の交戦国に対する国際法上の地位。中立国は,交戦国に対して公平義務と黙認義務を負う。局外中立。

 

 

○こちら===>>>

公平(コウヘイ)とは - コトバンク

 

 

こうへい【公平】

かたよることなく,すべてを同等に扱う・こと(さま)。主観を交えない・こと(さま)。

 

 

○こちら===>>>

公正(コウセイ)とは - コトバンク

 

 

こうせい【公正】

かたよりなく平等であること。公平で正しいこと。また,そのさま。 「 -な裁決」 「 -な取引」 「 -を期する」

 

 

それぞれ、リンク先の「コトバンク」内の『大辞林』からの引用です。

国連事務総長は韓国人ですから、ひょっとすると、韓国語と日本語でニュアンスが異なるかもしれません。

間に英語を通しているとなると、私のレベルの脳みそではなんともなりません。

 

 

では、それぞれの意味を比べてみると、【中立】も【公平】も【公正】も、言っていることは大して変わりません。

【中立】だけは、 国際法上の国家のあり方について説明しており(中立国)、これは戦時の条件なので、今回のこととは関係ありません。

ということで、官房長官の、

 

 

「何か言葉の遊びをしている感じにさえ受けとれる」

 

 

という発言が妥当だと思います。

中国が抗日戦争勝利70年記念行事とやらを開催するのは勝手ですが、であれば国連事務総長は、日本の終戦記念日の式典や広島・長崎の原爆忌式典にも出席するべきでしょう。

来ましたっけ?

 

 

ところで、

 

 

○こちら===>>>

国連憲章テキスト | 国連広報センター

 

 

↑には「国連憲章」の日本語訳が掲載されています(正式なものは、中国語、ロシア語、フランス語、英語、スペイン語なので、誤訳は考えられます)。

その前文は、

 

 

われら連合国の人民は、 

われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、

基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念をあらためて確認し、

正義と条約その他の国際法の源泉から生ずる義務の尊重とを維持することができる条件を確立し、

一層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを促進すること並びに、

このために、寛容を実行し、且つ、善良な隣人として互いに平和に生活し、

国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせ、

共同の利益の場合を除く外は武力を用いないことを原則の受諾と方法の設定によって確保し、

すべての人民の経済的及び社会的発達を促進するために国際機構を用いることを決意して、

これらの目的を達成するために、われらの努力を結集することに決定した。」

 

 

なんですが、

 

 

「われら連合国の人民」

 

 

↑冒頭のこれ、英語では

 

 

「WE THE PORPLES OF THE UNITED NATIONS」

 

 

なんですね。

この訳文を読むと、「連合国=第二次大戦の戦勝国と考えてしまいそうになるんですが、英語では「THE UNITED NATIONS」と「the」がついていますから、複数の「連合国」ではなく、単数の「国際連合」と考えるのが自然かと思います。

でも、まあ、実際には、戦勝国が作り上げたものですけども。

だから、国連事務総長が、戦勝国のパレードに出るのがなんでいけないのか、ということを言いたいのかもしれないんですね。

ざっと見た限り、「国連憲章」のどこにも、「国連は中立であるべき」とは書かれていませんし。

100条には事務総長及び職員に関する規定があるのですが、

 

 

「1. 事務総長及び職員は、その任務の遂行に当って、いかなる政府からも又はこの機構外のいかなる他の当局からも指示を求め、又は受けてはならない。事務総長及び職員は、この機構に対してのみ責任を負う国際的職員としての地位を損ずる虞のあるいかなる行動も慎まなければならない。

2. 各国際連合加盟国は、事務総長及び職員の責任のもっぱら国際的な性質を尊重すること並びにこれらの者が責任を果すに当ってこれらの者を左右しようとしないことを約束する。」

 

 

↑こんなもんですし。

 

 

「いかなる政府からも又はこの機構外のいかなる他の当局からも指示を求め、又は受けてはならない。」

 

 

ということは中国からの要請があったなら別ですが、そうでなければなんらかの国際イベントに参加するのがふさわしくない可能性はあっても、おいそれと追求することは難しい、という感じです。

 

 

ま、ただねぇ、「国連憲章」ができたときの中国は、中華民国なんだけどね。

最悪、台湾が抗日戦争勝利70年記念式典をやって、そこに参加するなら、まだわかりますけどねぇ……。

 

 

(元記事)

www.sankei.com