『【臨時国会】安倍晋三首相演説、異例のスタンディングオベーションで中断 自衛隊などへの敬意呼びかけ 自民議員応じる 野党は「異常な光景」と批判』
(産経ニュース 2016/9/26)
以下、一部引用。
「(略)
首相が国境警備などに携わる海上保安庁や警察、自衛隊に対し「今この場所から心からの敬意を表そうではありませんか」との呼びかけに応じた。首相も演説を中断して拍手した。拍手は、大島理森議長が「ご着席ください」と制止するまで約15秒間続いた。
衆院本会議の首相演説が拍手によって中断するのは異例。本会議後の自民党役員会でも話題となり、議員歴36年の高村正彦副総裁が「演説の最中の『スタンディングオベーション((立ち上がっての拍手喝采)』は自分の経験上も初めてのことだ」と述べた。
(略)
党幹部によると、党としてあらかじめ拍手を予定していたわけではなく、若手議員を中心に自然に発生したという。
ただ、民進党などの野党からは批判的なヤジが飛び出した。日本維新の会の馬場伸幸幹事長は本会議後の記者会見で「私も本会議場の中にいて異常な光景だった」と批判した。馬場氏はまた、「自画自賛のためにやっている。こういうことは避けていかないと、立法府の議論ということにはならない」と注文を付けた。
衆院本会議でのスタンディングオベーションは旧民主党政権でも例があった。政権交代直後の平成21年10月26日、当時の鳩山由紀夫首相が初めて行った所信表明演説を「ぜひとも一緒に新しい日本をつくっていこうではありませんか」と締めくくった際、同党議員が総立ちになって拍手を送った。」
軍があれば、軍に対してこういった行いをするのは、権力者としては当然です。
見かけ上、軍ではない、しかし軍に類する任務を負い、武力を持っている自衛隊をどのように遇するのか、というのは、重要なことなのだと思います。
見え透いたパフォーマンスだろうが、当の自衛隊の隊員の方々がどう思おうが、権力者は武力を自分の側に寄せておかなければいけませんから(右左に限らず)、必要に応じて行なうでしょう。
この辺りはバランスが難しい(極論を言えば、やりすぎると軍部の増長ってやつにつながりますし、やらなすぎるとクーデターにつながります)ので、今回のこれがどのように評価されるのかはわかりませんが……。
「党としてあらかじめ拍手を予定していたわけではなく、若手議員を中心に自然に発生」
↑まあ、これは方便でしょう。
「「自画自賛のためにやっている。こういうことは避けていかないと、立法府の議論ということにはならない」」
↑野党のみなさんが噛みついたのは、「所信表明演説を中断して」、というところみたいですよ。
で、自衛隊、海上保安庁、警察に向けてのもの、とわざわざ演出しているのに、そこに触れないで「自画自賛」と言ってのける。
安倍総理あるいは内閣、政権に対する拍手だ、と思い込んでいる。
所信表明演説は聞いていない、ということですね。
「政権交代直後の平成21年10月26日、当時の鳩山由紀夫首相が初めて行った所信表明演説を「ぜひとも一緒に新しい日本をつくっていこうではありませんか」と締めくくった際、同党議員が総立ちになって拍手を送った。」
↑そしてこれこそ自画自賛なのですが(薄ら寒い光景ですな、まさしく)、どうもみなさん健忘症のようなので、もう一度新聞を読み直すなり、国会の記録を読み直すなりしたほうがいいと思います。
専門用語で「ブーメラン」というそうですよ。
ただ、所信表明演説が終わったあとで、中断していないからいいんだ、と思っているかもしれません(……ぽかん、ですけど)。
……お忘れかもしれないですが、ときの官房長官だかなんだかが、自衛隊を指して「暴力装置」と言いやがった政権ですから、自衛隊に対する拍手をするわけにはいかないんでしょうねぇ。
政権与党、ということは、権力者なわけです。
その権力者が、自分の指揮下にある武力を、反権力の立場のように「暴力装置」と言い放つ。
お里が知れるというか、本音が漏れたというか。
だったらその勢いで、自衛隊解体すりゃよかったのにねぇ……ところが、さすがに急にはできないんですよ、民主主義で権力を握ると。
よかったよかった。
しかし、少なくとも、あの連中の元で、自衛隊員のみなさんを危険にさらしたくない、と思った瞬間でしたね(いやあ歴史的)。
(元記事)