そろそろ新本格30周年だったか……もう終わりましたか……よく覚えていませんが、まあとにかく、変な本です(読んだのは一昨年になってしまうのですね……)。
ミステリではない、と断言しづらいですが、普通のミステリではないですし、普通じゃないミステリっていうのはますますわからないのですが、巧緻なものを編ませたら天下一品、ノリリン(勝手に呼んでいます)こと法月綸太郎さんが、真面目に、かなり真面目にやってみたらこんなことになりましたよ〜、な逸品。
そもそも、本格ミステリが苦手、嫌い、受け付けない人に対しての訴求力はほとんどないです。
本格好き、ショートショートも好き、という人なら手にとって損はないです(得もしない)。
というのは、内容がですね、いわゆる<読者への挑戦状>ネタばかりなのです。
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えっと、<読者への挑戦状>の説明は不要(ちょっと不安)ですよね?
あの、ミステリを読んでいくと、途中で物語が止まってですね、「謎を解くための手がかりは全て文中に提示されている」とかなんとかって挿入される、知的ゲームとしてのミステリのフェアプレイ精神の結晶のような、美しい一文のことです。
現代作家さんの中でも、これに手を染める人がいらっしゃるのは素晴らしいですが、何しろ絶妙なバランス感覚を要するので、様々な<挑戦状>付きミステリを読むたびに、心血注いでこれに傾倒したエラリー・クイーンの凄みがよくわかります(黄金期だからできた、って話もありますが)。
100編……違うわ、99編が収められているのですが、それぞれになんらかの元ネタがあり(あ、ノリと勢いだけで元ネタがないのもあります)、それを使っての<読者への挑戦状>がかましてある、という……書いたのが法月さんでなければ「なんだそりゃ?」な代物、書いたのが法月さんであっても「いやいや、法月綸太郎シリーズの続きを〜」と少し思わないでもない、しかし私は新本格アイドルグループの四天王であるアリス(有栖川有栖)、ユッキー(綾辻行人)、レイちゃん(二階堂黎人)、ノリリン(法月綸太郎)の中では抜群にノリリン好きなので(評論買ってないや)、お仕事していらっしゃるだけで許せてしまうのです(なお、アリス、ユッキー、レイちゃん、ノリリン、という呼称はブログ筆者が勝手に時々使っているだけで、公式でも非公式でもありませんので悪しからず)。
私も読書歴が偏っているので、元ネタがわからないものもありますが、『ジョジョ』を元ネタにしたポップでキャッチーなものもありますので、何も考えず、いやいや何かしら考えながら、最終的に「ナンジャコリャ」と思いながら読み進めていただくのがよろしいかと。
個人的には、そうですねぇ、「12 ラジオドラマ「クエリー・ルーインの冒険」」のネタを昔思いついたことがある(証拠はない)ので、何だか感慨深かったです。
「48 いろは四十八文字」も、ちょっと『涙香迷宮』めいてていいなぁ、とか。
読み返し始めると、いろいろニヤニヤしてしまったりもします。
何か引用しようと思ったけどやめときます。