『BABYMETAL、日本人アーティストで初めて英メタル誌『METAL HAMMER』表紙に登場』
(バークス 2015/7/18)
以下一部引用。
「日本では未だ音楽専門誌の表紙を飾ったことがないBABYMETALだが、今回、先にイギリスでカバーデビューをすることとなった。『METAL HAMMER』は、デビュー間もないBABYMETALをいち早く紹介したメタル雑誌であり、2014年に同誌で開催された読者人気投票「Heavy Metal World Cup」では、欧米アーティストを破って見事優勝していた。
先日もBABYMETALは『METAL HAMMER』が開催するアワード<GOLDEN GODS AWARD 2015>のセレモニーに出演。Dragon Forceとのスペシャル・コラボレーションライブを披露し、2015年活躍が期待されるアーティストがノミネートされる「Breakthrough Artist」を受賞した。」
他にも、『KERRANG!』誌でも賞を受賞しているようで。
この辺りは欧米のオリエンタリズムへの憧憬でしょうか(まだあるのか?)。
ヘヴィメタルの持つ硬質なイメージと、アイドルの「カワイイ」イメージの異化融合作用への好反応が、日本ではなく欧米で起こるのは、「ロック/ハードロック/ヘヴィメタル」の音楽シーンにおける位置づけが日本とは異なっているからなのでしょう。
彼女たちの場合、演奏や曲は本物なわけですから、原理主義的なメタルファンにも好印象。
加えて、日本特有のシステムで鍛え上げられた「全力なアイドル」のパフォーマンス。
誰でも、カワイイ女の子は大好きなのだ、という普遍性(男も女も、ですよ)。
うーん……そうですねぇ、SLIPKNOTみたいなものですか? <違うと思う
「日本では未だ音楽専門誌の表紙を飾ったことがないBABYMETAL」……日本では、色物アイドルの一種でしかないですけども(と、私は思っているんですけれども、もう違うのかな?)。
だって、日本ではヘヴィメタルそのものが色物ですから。
正統派のメタルは、メジャーなバンドでいえば、聖飢魔II、X JAPAN、にしか残っていないんですよね。
あ、すいません、最近の邦楽シーンがよくわからないんで、的外れかもしれません。
X JAPANがメタルなのかハードロックなのかは議論の分かれるところですが、格好はともかくサウンド的にはNWOBHMの子孫と考えてもいいと思います(JUDAS PRISTかなぁ……音作りはまた、違うんでしょうが)。
聖飢魔IIは、見た目はKISSですので、曲も紐解いてみるとハードロック寄りではありますが、その多様性はやはりメタルに該当するでしょう。
俗に言う「ジャパメタ」というのも、私が目覚めたときにはブームではなかったですし、ちゃんと聴いたことあるのはEARTHSHAKERくらいなんですが(全盛期のラウドネスとかアンセムとか、そろそろ聴こうと思ってます)、メジャーでは残っていないですし。
最近売れているのはONE OK ROCKですか?
あの人たちは、サウンドもテクニックもパフォーマンスも、スタジアムロック級ですごいと思います。
でもメタルではない。
もはや、ヘヴィメタルってなんなんだ?という話になってきます。
ジャンルとしては、非常に定義が難しいです。
ま、そんなときはディマイオ閣下の名言、
「偽物のメタルに死を!」
を持ち出して、とにかくMANOWARを聴けばメタルがわかる、ということにしておきましょう。
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日本におけるメタルの悲劇というのは、「大衆化」に失敗したことではないかと思います。
海の向こうでは、METALLICAやMEGADETHといったバンドが、いわゆる「ヘヴィメタル」のイメージを脱却させることに成功しており、その影響はその後も続いています(でなければ、SLIPKNOTやマリリン・マンソンがあんなに売れません)。
「メタル=ダサい」、というイメージ……ではなく、歌詞の内容をシリアスかつ比喩的なものに落とし込むことに成功した、という一面があると思っています。
レインボーやディオが今ひとつ成功しなかったのは、「Kill the king」とか歌っているのがアメリカで受けなかったんじゃないかなぁ、と。
いえ、アメリカ人はファンタジックなものが嫌いなわけではないんです。
ただ、あの国、中世と君主制を経験していないんで、憧れはあっても今ひとつ乗り切れなかったんじゃないかな、と。
そこから脱却して、SFっぽい方向性に振ることができれば(つまりアメリカにおける神話です)、ヨーロッパくささを取り除くことができたのかな、と。
これは一面でしかないので、他にもいろいろな条件があったことと思います。
一方で、日本ですが。
似たような問題はあるのですが、困ったことに、そういったファンタジックな要素と非常に親和性の高いものがあったんですね。
そう、漫画・アニメといったサブカルチャーです。
ヘヴィメタルの持つ要素である、ドラマティックさですとか、壮大さですとか、スピード感、非日常性などなどが、おそらくですが、アニメソングに引き寄せられたんですね。
というわけで、時代が時代ですから(オタクという言葉には一切ポジティブイメージのない時代です)、一緒になってアンダーグラウンドに潜っていった。
一方で、ヴィジュアル系という人たちは、本来ハードロック/ヘヴィメタルの持っていた要素を取り出して、逆に独自の世界観を作り上げることで、ある程度の市民権を得ていく、ということになっていきました。
時代が進んで、様々なミクスチャーなことが起こり、もはや音楽をジャンル分けすることに虚しさすら感じる時代ですが、それでも、日本において「正統派ヘヴィメタル」に日の目が当たることはおそらくないと思います。
そういう意味では、彼女たちが活動の場を海外に求めたのは外れではないですが、音楽市場としてはアメリカと日本に食い込んでおかないと。
ヨーロッパだけでは結構きついと思います。
(元記事)