シグマフォース シリーズ? ギルドの系譜 上 (竹書房文庫)
- 作者: ジェームズ・ロリンズ,桑田健
- 出版社/メーカー: 竹書房
- 発売日: 2015/04/23
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (1件) を見る
シグマフォース シリーズ? ギルドの系譜 下 (竹書房文庫)
- 作者: ジェームズ・ロリンズ,桑田健
- 出版社/メーカー: 竹書房
- 発売日: 2015/04/23
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (2件) を見る
一人ロリンズ祭りも佳境に入って参りました。
現アメリカ大統領の娘アマンダが、夫とともにセイシェル諸島で過ごしているところを何者かに誘拐された。知らせを受けたペインター・クロウは、<シグマフォース>のグレイソン・ピアーズのチームをその救出に当たらせる。ギルドの暗殺者セイチャンとともに東アフリカに飛んだグレイは、元レンジャー部隊の隊員で軍を追われているタッカー大尉とその優秀な相棒であるケイン(※軍用犬)の力を借り、アマンダの行方を探る。
敵の狙いがアマンダのお腹の中の赤子だと悟ったペインターは、彼女が不妊治療を受けたクリニックの調査に<シグマ>のキャスリン・ブライアンとと自分の恋人で医師でもあるリサを向かわせる。
ソマリアにいるアマンダにあと一歩というところまで迫ったグレイのチームは、しかしアマンダの救出に失敗、<シグマ>はギャント大統領やその側近で兄でもある国務長官から閉鎖命令を受けてしまう。
敵はギルドなのか?
そしてギルドとは何なのか?
なぜ、アマンダの赤ん坊を狙ったのか?
追跡を続ける<シグマ>は、ドバイ沖に建設されている人工島に突入するが……。
さて、今回はいよいよ、<シグマ>の宿敵ギルドの正体に迫ります。
ネタバレしないように書くのはなかなか難しいので置いておきますが、いくつかの秘密結社と同様にギルドもまた、あのテンプル騎士団と関連付けて語られます。
昔からテンプル騎士団は有名で、『エルガイム』の頃から私は知っていますが(『FSS』に出てくるミラージュ騎士団のモチーフでもあります)、何でもかんでもテンプル騎士団とフリーメーソンに結びつけるような陰謀論には飽きました(笑)。
レンヌ=ル=シャトーの謎―イエスの血脈と聖杯伝説 (叢書ラウルス)
- 作者: マイケルベイジェント,ヘンリーリンカーン,リチャードリー,Michael Baigent,Henry Lincoln,Richard Leigh,林和彦
- 出版社/メーカー: 柏書房
- 発売日: 1997/07
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 89回
- この商品を含むブログ (18件) を見る
↑『ダ・ヴィンチ・コード』の元ネタです。
学生時代からですかね、このネタは知っていて、なかなか面白いと思っていたのですが、『ダ・ヴィンチ・コード』が大々的に売れたときはちょっと驚きました。
今さらこのネタで……という印象で。
ま、ともかく、再び日の目を浴びたフリーメーソン、テンプル騎士団、イルミナティ、あとはローゼンクロイツとか、いやぁ洋の東西を問わずこの手の話はぶり返すのだなと感心した次第です。
何か新しい発見に絡めて、定期的に復活するんでしょうか(日本でも、「騎馬民族東遷説」とか、定期的にね……)。
今回のネタは他にも、長寿の秘密、イエス・キリストの杖、ロボット工学(例の「ロボット軍用犬」の進化版が出てきます)などなど、盛りだくさんですが、やはり眼目はメインのネタで……ロリンズのいつものパターン(敵の側には、有能で魅力的だが危険で狂気をはらむ女性がいる、というあれ)が見られないなぁと思っていたら……という展開にもなっていますので、個人的にはほくそ笑んでいました。
グレイは相変わらず悩んでいますし(父親の介護問題とか、セイチャンとの仲とか)。
作者のロリンズは元獣医師(いまでも、かな?)で、そのせいか作中にはよく犬が出てきます(他の動物に関しても、その描写は専門家らしく生き生きと、また寒々としています)。
今回登場する軍用犬のケインは、そのハンドラーであるタッカーとのコンビで素晴らしい能力を発揮し、犬萌えのかたにはたまらんでしょう(私は猫派なもので……)。
そのケインと、対比するように登場する「あの」ロボット軍用犬。
いや、これは是非とも映像化してほしいものです。
というわけで、<シグマフォース>シリーズは、新たなステージに移ります〜。
楽しみ楽しみ。
「ケインはベルジアン・シェパードだ」タッカーは答えた。「マリノアさ」
「なるほど。ということは、軍用犬かな?」
「そうだ。陸軍所属。退役したけどな」
「差し支えなければ教えてほしいんだが、ケインの階級は?」
「少佐だ」
コワルスキがタッカーの方を見た。「ちょっと待ってくれ。ケイン少佐だって? 犬の方があんたよりも階級が上なのか?」
グレイはそれが珍しいことではないのを知っていた。軍用犬はハンドラーよりも常に階級が一つ上と決まっている。そのため、虐待があればハンドラーが軍法裁判にかけられることになる。もちろん、そでなくてもタッカーがケインを虐待することなどないだろうが。(「上」p365)
私が腐女子なら、この軍用犬とハンドラーの階級でひとネタ描きますね(何を?)。