え〜、いよいよテレビ業界もネタに詰まってきたのか、「御手洗潔」に続いて「火村英生」までドラマになってしまいましたとさ……日本テレビ系でやっていました『臨床犯罪学者・火村英生の推理』です。
○こちら===>>>
録画はしてあるんですけどね……なんといいますか、「僕の火村先生はこんなんじゃないやい!」な感じが強くて……嫌いじゃないんですよ斎藤工さん(でもなんかエロいから……)。
有栖川有栖役の窪田正孝さんは、『ウレロ!』にも登場されたので……あ、スターダスト(事務所)なんだね……というか、印象としては『ケータイ捜査官7』なんですけど、あの頃からいいなぁと思っていました。
もちろん、「僕のアリスはこんなんじゃないやい!」って人も多いでしょうけれど、うーん、結構近いですね、イメージに。
ま、どっちもかっこよすぎますけど(をい)。
本書には短編とショートショートが8本収められており、非常にリーズナブルです。
相変わらず、有栖川先生の短編は素敵です。
ホック並みに好きです(といいながら、全部は読んでないですが)。
「長い影」は、怪我でベッドに寝ていた男が、向かいの建物で不審な影を目撃した
、その建物で死体が発見される、というもの。
犯人の目星はつくが、その目撃証言でアリバイが成立してしまう。
さて、このアリバイをどう崩すのか。
「鸚鵡返し」は、珍しい火村先生語りによるショートショート。
タイトルの通り、オウムが出てきますが、処理の仕方が面白いです。
「あるいは四風荘事件」は、亡くなった大物推理作家(社会派の重鎮)の遺作として見つかったのが、どうやら本格ミステリーらしいということで、編集者を通じて有栖川先生と火村先生が登場します。
遺作ものとしては定型な、「未完の小説」に決着をつける、というやつです。
作中作に出てくる仕掛けは、アレを読んでいるとピンときます(アレが何かは……ええと、『○○ない○○○』……だったっけ?)。
「殺意と善意の顛末」もショートショート。
これは抜群な出来だと個人的には思います。
日本的といいますか。
「偽りのペア」もショートショート。
火村先生の下宿の婆ちゃん大活躍です。
「火村英生に捧げる犯罪」は、かなり込み入った感じになっているので、さらっと紹介するのが難しいのです。
火村先生は、受験の試験監督をします(准教授だから、まぁそういうこともあるでしょうけれど、それで犯罪捜査に携われないというのがなかなか生々しくてよろしいかと)。
「殺風景な部屋」は、死体が発見された部屋があまりに殺風景だった、というところから容疑者を絞り込みます。
「雷雨の庭で」は、<足跡のない殺人>ものです。
<密室殺人>と並んで、私には一つもトリックを思いつかない<足跡のない殺人>ですが、本格マイスターのみなさまはいくつも書いていらっしゃいます。
聞けば「なぁんだ」というのがトリックの醍醐味でもあります。
「思いつきそう」で「思いつかない」、というラインがベストですね。
そうすることで、次代の本格マイスター候補が、「俺も書けるんじゃないか」と挑んでくるわけですから(?)。
やはり、有栖川先生の作品は、文章がいいですねぇ……かたすぎず、やわらかすぎず。
こんな文章書いてみたい、いや書けるんじゃないか、うん書いてみよう……とは思いませんけれど。
「<頭の中が真っ白>という言い回しは、いつからこうも普及したのか? 最近は聞かない日がないような気さえする。これと<感動で鳥肌が立った>が、今の日本で最も手垢に汚れた表現だろう。」(p42)
手厳しい〜。
あ、ドラマも見ないとね……。