今年の初めの方で、「善光寺」や「諏訪大社」に関する妄想を書き連ねていました。
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それに何かしらの決着がついたわけでもないのですが、いっときはたくさん読んでいた関裕二氏が信濃について書いていらっしゃったので、手に取ってみました。
関氏の特徴は、新しい考古学的見地と、文献資料の行間から、私見を構築していくことではないか、と個人的には考えています。
だから、大いに納得できる部分もあれば、いまひとつな部分もあり(それは、私が基本的に妄想しかしていないからで、ぼんやりとした結論しか浮かんでこないのが残念だからなのですが)。
あとはまあ、新書に望むことではないのかもしれないですが、参考文献を一覧にしてほしいな、と(文中で引用されたりしているものは、その文に書かれているのですが、一覧がほしいですよねやっぱり)。
序章では、「タケミナカタ」という神性が移動してきたルートを解説、他にも信濃にやってきた「イセツヒコ」や安曇氏のことなどが書かれています。
第1章は主に「善光寺」、信濃には「有名な霊場はない」と語ったらしい命蓮聖(『宇治拾遺物語』)ですが、時代的には当然「善光寺」は栄えている(栄え始めている)はずなのに、なぜだか偉いお坊さんには相手にされていなかったようです。
『善光寺縁起』の内容から、舎人氏の状況、七不思議、ヤマトの成立(九州東遷ではなく、吉備が重要だと説く関氏の私見)、物部氏と蘇我氏の真の関係性、そして馬……。
第2章は、長野県の文化圏の分析から始まり、「諏訪大社」とその周辺の謎について語られています。
「ミシャグチ神」とは何か、についても面白い見解があります。
第3章では、安曇氏の信濃での存在感、三橋一夫という人が発見したらしい「三天法」という宗教施設の位置関係から分類される古代日本の文化圏、ついには邪馬台国とヤマト建国、物部氏と蘇我氏……などなど、古代史好きにはたまらないワード満載です。
第4章では、信濃と古代の天皇との関わりから、いつもの通り(?)の関氏ワールドの締めに入っていきます。
私の気付かない様々な観点があり、中でも「安曇氏」(私は、そちらの神社に参拝していないので、検討していないだけなのですが)と、「馬」については面白かったかなと思います。
こういう見方で妄想を膨らませると、もっと面白くなりそうです。
残念なのは、「諏訪大社」がああいう形式になったことについては、あまり考察されていないこと(まぁ、神社の考察が主眼ではないので仕方ないのですが)。
文献資料も少ないですし、致し方ないのかなぁ……。
とにかく、古代史という観点から、長野県はとても面白い土地だということが再確認できました。
幸いそれほど遠くもないですし、また攻めてみよう(?)と思います。
「平安後期以降の善光寺は、有名な霊場だった。にもかかわらず、手もとの仏教史の本には登場せず、もちろん日本史の教科書にも出てこない。
なぜかといえば、「研究のやり甲斐がない」からだ。研究しても、学者として高い評価は得られなかったのである。」(p50)
開創は伝説に彩られるものですが、「善光寺」は、仏像はえらくても、開いた人がただの人(本田善光)。
そこに、「善光寺」の本質がある……らしいです。