べにーのDoc Hack

読んだら博めたり(読博)何かに毒を吐いたり(毒吐)する独白

『あなたは嘘を見抜けない』菅原和也

 

あなたは嘘を見抜けない (講談社タイガ)

あなたは嘘を見抜けない (講談社タイガ)

 

 

えっと、そうですね、確かに読んだ記憶はあるのに、いろいろと思い出せないな……。

物語は……これを書くとネタバレになるか……いやならないか、もう、昨今の超絶ミステリではなんでもありだからなぁ……というわけで、恋人を廃墟巡りの事故で失った高辻という男性の独白と、孤島での廃墟巡りに向かう一行の時間軸が交互に描かれています。

高辻パートでは、恋人の死の真相に迫ろうとして、徐々に歪んでいく様がなかなか、なんというのか、物悲しい……と同時に、自身の失われた半身を求める姿が、なんというのか、ええと、美しい、んですが個人的にそれほど性に合わない(俗物なもので)。

孤島の廃墟パートでは、ネットで知り合った間柄なのでそれぞれハンドルネームを名乗り合う男女が探索をしているのですが、その過程で事件が起きると……。

 

で、ここにタイトルを絡めてみると、何がどうなるミステリなのか、本格にすれている人は大体気づくと思います。

構成は(叙述としては)、ミスリードを丁寧に誘うような感じになっているので、最近の若い方はこういうのを構築できてしまうのだなぁと妙な感心をしました。

文章も読ませるし、ディレッタントもほどよい量だし、キャラ造形に関しては今の時代、どんなキャラを作ったところで、という感じはあるので(少年少女向け漫画ならともかく、ヤングアダルト向けになると……)、まあ、好みもあるしいいんじゃないのかな、と。

で、これって『十角館の殺人』のオマージュなのかな……あ、全然似てませんけどね事件とかトリックとかは……新本格を一番読んだ世代なもので、どうしても孤島で変な名前ときたら『十角館〜」という連想がしてしまって、これはこれで、絢辻さんにも菅原氏にも申し訳ない……。

帯を見たら、「横溝正史ミステリ大賞を最年少で受賞した」と書いてありました……私なんぞがどうこう申し上げるものではありませんな……。

いや、面白かったんですけれどもね、深く読めていないので、多分本当の面白さに気づいていないだけなんだと思います、だから印象に残っていないんです。

そんなことが、最近増えています……年だな、年。