『書店は主張しちゃダメですか 「民主主義フェア」の波紋』
（朝日新聞デジタル 2015/11/5）
以下引用。
「東京・渋谷の「ＭＡＲＵＺＥＮ＆ジュンク堂書店渋谷店」が、「自由と民主主義」をテーマに開催していたブックフェアを、ネット上の「偏っている」といった批判を受けて一時中止した波紋が広がっている。安全保障関連法制の国会審議を受けて「民主主義本」の売れ行きは好調だが、類似のフェアを開く書店は客の受け止め方に神経をとがらせる。
東京都内の大手書店。店に入ると「ぼくらの民主主義」と書かれた案内が目に付く。棚に並ぶのは、作家の高橋源一郎さんの「ぼくらの民主主義なんだぜ」、坂井豊貴・慶応大教授の「多数決を疑う」……。沖縄関連のタイトルも多い。
安保関連法案の国会審議が始まり、関連本が売れ筋になった５月にフェアを始めた。店長の男性（３５）は「客が求める本を並べるのが書店の役割」と話す。「なぜ偏った本を並べるのか」という苦情は２件来たが、見直すつもりはない。「本は著者が切り取った社会の一側面。全てが『偏っている』とも言える。圧力に負けていては、書店はやっていけない」
ジュンク堂書店難波店（大阪市浪速区）も９月中旬から安保関連法制のコーナーを始めた。抗議の電話は来たが、福嶋聡（あきら）店長は「コーナーやフェアは書店員個人のメッセージ。臆せず決断するのか、何か起きたら困ると引くのかは、店次第だ」と話す。
民主主義がテーマのフェアはこの秋、全国各地の大型書店で相次ぐ。安保法制に反対する学生団体「SEALDs（シールズ）」による選書コーナーを設置する店も多い。大学生協では全国２０９のうち４３店に上った。関連本が次々に出版され、関心が高まったのがきっかけだ。
「SEALDs 民主主義ってこれだ！」は、ネット販売の分野別売れ筋ランキングで１位になるなど「異例の売れ行き」（版元の大月書店）。１０月２０日の発売直後に増刷になり、３刷も決まった。岩波書店も、憲法学者の長谷部恭男さんらの「安保法制の何が問題か」を９月に出版し、翌月に増刷した。教科書に使われる芦部信喜さんの「憲法」（岩波書店）の売り上げも前年比の２割増。担当者は「大学生協だけでなく、一般の書店からの追加注文が多い」という。
一方、フェアを開く書店は、ジュンク堂のフェア中止以降、客の反応を気にしている。大手書店の多くが取材に対し、「フェアを開催している事実も含め、店名を出さないでほしい」と答えた。１０月にフェアを開いた大手書店は「お客さんがどう受け取るか、自信が持てない」と説明した。一方で、別の大手書店の店長は「批判に萎縮しているわけではない。いったん白紙にして見直すのは妥当な判断だ」と話す。」
「東京・渋谷の「ＭＡＲＵＺＥＮ＆ジュンク堂書店渋谷店」が、「自由と民主主義」をテーマに開催していたブックフェアを、ネット上の「偏っている」といった批判を受けて一時中止した波紋が広がっている。」
……って、そりゃ中止したからでしょう。
むしろ、
「客が求める本を並べるのが書店の役割」と話す。「なぜ偏った本を並べるのか」という苦情は２件来たが、見直すつもりはない。「本は著者が切り取った社会の一側面。全てが『偏っている』とも言える。圧力に負けていては、書店はやっていけない」
……右だろうが左だろうが、こう思ってやっていればいいんだと思います。
そうじゃない、という部分が透けて見えたから、「波紋が広が」ったんでしょう。
「「コーナーやフェアは書店員個人のメッセージ。臆せず決断するのか、何か起きたら困ると引くのかは、店次第だ」」
……日本語が難しくて私にはよくわかりませんが、コーナーやフェアって、要するに「企画」でしょう？
その「企画」にゴーサインを出すのは「店」なんだから、責任とるのは「店」でしょう。
当たり前のような気がします……それとも、書店員個人が勝手にコーナー作ったりフェアしたりするの？
「関連本が次々に出版され、関心が高まったのがきっかけだ。」
……次々に出版されてましたっけ？
まあ、話題の熱いうちに売らないといけませんからね、作者も出版社も。
そりゃ次々出すでしょう。
かといって、憲法関連の本なんて、数年周期でヒットしている印象ですけれど。
憲法読みたければ、ネットで検索すればいいのに、とすぐに思ってしまいます。
「大手書店の多くが取材に対し、「フェアを開催している事実も含め、店名を出さないでほしい」と答えた。」
書店の「企画」って、「売るための企画」でしょ？
売れなかったら、恥ずかしいから店名を出されたくないのもわかりますが、開催すること自体を隠したって仕方ないような。
政治的な主義主張ではなく、
「面白い本かどうか」
「役に立つ本かどうか」
「価値のある本かどうか」
「今読んでおくといい本かどうか」
そういう観点で薦めてもらえるなら、どんな本だっていいと思います。
偏っていようがなんだろうが、書店員が主張すべきはそこでしょう。
そうでないなら、
「本屋大賞」
なんて全く信用できなくなります（実際、あんまり「本屋大賞」の本を読んだことがない）。
で、記事タイトル「書店は主張しちゃダメですか」なんて、記事の中で誰も言ってないんですけれどね、朝日新聞さん。
（元記事）
