『「黒人・奴隷が米大統領に」 自民・丸山氏が発言し陳謝』
(朝日新聞デジタル 2016/2/17)
以下引用。
「自民党の丸山和也参院議員は17日の参院憲法審査会で「アメリカは黒人が大統領になっている。これ、奴隷ですよ。建国当初、黒人、奴隷が大統領になるなんて考えもしない。ダイナミックな変革をしていく国だ」と述べた。丸山氏は「意図するところと違う発言をした」として審査会後、陳謝した。
オバマ米大統領は、アフリカ系(黒人)初の大統領だが、ケニアから米国に留学した黒人の父と白人の母との間に生まれており、奴隷の子孫ではない。
また、丸山氏は審査会で「日本がアメリカの51番目の州になることについて(日本国)憲法上、どのような問題があるのか、ないのか」とも参考人に質問した。「(米国の州になれば)集団的自衛権、安保条約はまったく問題にならない。拉致問題すら起こっていない」とも述べた。
丸山氏は審査会後の記者会見で「誤解を与える発言をして申し訳ありません」と語り、「議事録を精査したうえで(問題部分の)削除及び修正をさせていただきたい」とも述べた。」
もともと舌禍のある人なんですが、弁護士さんでもあるので、言葉の使い方には気をつけたほうがよろしいかと。
あとは、謝る必要があったのか、ということですね。
○発言の詳細(朝日新聞デジタル)===>>>
自民・丸山和也参院議員の参院憲法審査会での発言詳細:朝日新聞デジタル
こちらにありましたので、引用。
「憲法上の問題でもありますけれど、ややユートピア的かもわかりませんけれども、例えば、日本がですよ、アメリカの第51番目の州になるということについてですね、憲法上どのような問題があるのか、ないのか。例えばですね、そうするとですね、集団的自衛権、安保条約はまったく問題になりません。例えば、いまは拉致問題というのがありますけれど、拉致問題すらおそらく起こっていないでしょう。それから、いわゆる国の借金問題についてとかですね、こういう拉致問題のきかないような、ずたずたの状態には絶対なっていないと思うんですよ。
これはですね、日本がなくなることではなくて、例えば、アメリカの制度になれば、人口比において下院議員の数が決まるんですね。比例して。するとですね、おそらく日本州というのは、最大の下院議員選出数を持つと思う、数でね。上院もですね、州一個とすれば2人ですけれども、日本もいくつかの州に分かれるとすると、かなり十数人の上院議員もできるとなる。これは、世界の中の日本と言うけれども、要するに、日本州の出身が米国の大統領になるって可能性が出てくるようなんですよ。ということは、世界の中心で行動できる日本という、まあ日本とはその時は言わないんですけれども、ありうるということなんですね。
バカみたいな話をすると、こう思われるかもしれませんが、例えば、いまアメリカは黒人が大統領になっているんですよ。黒人の血を引くね。これは奴隷ですよ、はっきり言って。リンカーンが奴隷解放をやったと。でも、公民権もない、何もない。ルーサーキングが出て、公民権運動の中で公民権が与えられた。でもですね、まさかアメリカの建国、あるいは当初の時代にですね、黒人、奴隷がですね、米国の大統領になるなんてことは考えもしない。これだけのですね、ダイナミックな変革をしていく国なんですよね。
そういう観点からですね、例えば、日本がですね、そういうことについて憲法上の問題があるのかないのか、どういうことかということについてお聞きしたい。」
これだけ読んでも、前後の話が全くわかりませんが(日本がアメリカの州になるとかなんとかって、どんな文脈で出てくるの話なのか)。
例としての持ち出し方がまずかった、ということを謝罪しているわけですね。
「でもですね、まさかアメリカの建国、あるいは当初の時代にですね、黒人、奴隷がですね、米国の大統領になるなんてことは考えもしない。これだけのですね、ダイナミックな変革をしていく国なんですよね。」
言いたかったことは、↑なわけで。
で、これに関連して、
○こちら===>>>
「奴隷が大統領」発言、丸山議員の辞職勧告決議案を提出:朝日新聞デジタル
↑野党が辞職勧告決議案を出した、と。
○こちら===>>>
↑wikipediaでは、
「また、アフリカからの留学生と白人の間の子であって、アメリカの黒人コミュニティの主流である「元奴隷の子孫」ではないと言われていたが、2012年には、1647年に年季奉公を放棄、逃亡した罪で奴隷身分とする判決を受けたジョン・パンチ(英語版)(アメリカ最初の黒人奴隷)が、白人である母親の先祖のひとりであると、系図会社の Ancestry.com(英語版) が発表した。Ancestry.com が古文書とDNA解析により調査したところによると、パンチと白人女性の間に生まれたムラートである子は自由民となり、その子孫はヴァージニアの地主の家として代々続いたという。」
という記述があります。
これに関して、系図会社の調査が正しいのかどうなのか、よくわかりません。
ただ、
○こちら===>>>
オバマ大統領の祖先「米国最初の奴隷」 家系図調査 - 米大統領選特集:朝日新聞デジタル
「オバマ米大統領は、実は米国で最初の奴隷の血をひいていた――。DNA分析や古文書の調査によって判明したと米家系図調査会社が発表した。白人の母の12世代前の祖先が、米史上最初に終身奴隷となったアフリカ系男性だという。
家系図調査会社のアンセストリー・ドットコムによると、カンザス州生まれのオバマ氏の白人の母親から12代さかのぼると、ジョン・パンチ氏というアフリカ系男性にいき当たる。米独立前のバージニアで年季契約召使の身分から逃亡しようとして失敗、罰として1640年に終身奴隷とされた男性で、記録に残る最古の例という。パンチ氏は白人女性との間に子がおり、その子孫が「白人地主」として成功した。
2008年の大統領選では、オバマ氏が「奴隷の子孫ではない」ことで、アフリカ系有権者の間には一時、支持をためらう声も出ていたとされる。」
↑少なくとも朝日新聞は、当時(2012/8/5)このように、疑問符をつけることもなく(「〜だという」という曖昧な伝聞表現しかない)報道しているのに、
「オバマ米大統領は、アフリカ系(黒人)初の大統領だが、ケニアから米国に留学した黒人の父と白人の母との間に生まれており、奴隷の子孫ではない。」
なんて書いてしまうのはまずいのではないですかね。
それから与野党ともに何やら騒ぎすぎですが、「はっきりいって奴隷ですよ」といったことを問題視しているのであれば、「奴隷の子孫」に訂正するだけでいいのではないでしょうか。
文意としては、そういう話をしているわけですし。
あと、当事者不在で騒いでも仕方ないので、バラク・オバマ氏に聞けばいいのでは?
それこそ、名誉毀損で訴えられるかもしれませんが(棒)。
どの国も、自国の歴史については隠蔽したくなる部分があるものですが、黒人がかつて奴隷だったことは「隠蔽し難い歴史」に分類されると思います。
もし問題視しているなら、とっくのむかしに駐日大使が何か言ってくるのではないでしょうかね?
(元記事)