実はもう4巻が出ているのですが(無事出版されてよかった)、3巻です。
短編の名手ホックの生み出したキャラクターはたくさんいるそうですが、サム先生よりニックのほうが人気があるのかな……とにかく設定だけでしびれます。
怪盗、他人には値打ちのないものしか盗まない、しかし大抵その値打ちは共有されているのでそれを巡って事件が起こる、致し方なくニックが事件を解決する、というフォーマットの繰り返しなので、だんだん飽きてくる、と思われるかもしれませんが、そんなこと言ったら刑事ドラマもサスペンスも『水戸黄門』もそうなわけで、単発エピソード連続ドラマとしては抜群に面白いです。
このフォーマットのおかげで、読者は二つの謎、「値打ちはないけど盗みづらそうなものをどう盗むのか」と、そのとき起こる事件、を同時に味わうことができます。
そうですね……『まじっく快斗』の『コナン』寄りエピソードみたいなものでしょうか(意味不明)。
本作には14編が収められており、中には「ん〜」な盗み方だったりするものもありますが(そもそも怪盗なので、最終的にどんな方法でも盗んじゃうんです)、その奇想っぷりと俗っぽい事件、というのが怪盗という属性をも表しているようで興味深かったりします。
個人的には、ニックが日本にやってくる「駐日アメリカ大使の電話を盗め」が興味深いですね(ちょっと、日本に対する誤解というかイマジネーションが入っていますが)。
連続ドラマにしてほしいなぁ……短編の中に詰め込まれている、一発こっきりの盗み方や事件の謎、ちょっとしたアクション、グロリアとの関係、毎回といっていいほど登場する美女……ホックがどう思っていたのかはともかく、ドラマ映えするような気がします。
ただ、1時間は結構大変かも。