『六とん』シリーズですっかり本格ファンの心を鷲掴みにした、脱力系バカミス(褒めてます)の第一人者、蘇武健一氏の作品。
蘇部さんの作はほとんど読んでいる(はず)なのですが、探すとなぜか見つからないという。
『六とん』だけで4まで出ています。
すごいな蘇部さん。
個人的には、↑もおすすめだったりします。
よくそんなアホなこと思いつくな……と(褒めてます)。
他にも、イラストを効果的に使おうとされていた、
↑があります。
結末まで読ませる、という意味ではなかなか面白い試みだったと思います(その後、追随者が現れていないようなので、蘇部さんの独壇場ですな)。
本書もこちらの系譜を汲んでいますが(なので、パラパラめくるとイラストが出てきてしまって興が削がれます、注意しましょう)、また一方で蘇部さんにはロマンティックな小説を書かれるという一面もありまして。
筆致自体は、どちらかというと淡々としていて、情感豊かでもなく、情報が多いわけでもないのに、なんといいますか、その「普通」っぽさが逆に行間を読ませることに成功しているように思います。
結構ジーンときます。
というわけで、本書は「赤い糸」にまつわるいくつかの物語が登場するのですが、ネタバレになるとあれですが、蘇部ワールド全開のガッカリオチが満載です。
よくもここまで……というくらい残念です。
そして、それがまた効果的なんですよね……ああ、読んでいただくほうがいいと思うのでもう書きませんが。
結構無理のあるストーリーなんですが、プロットが非常にうまくて、「ああ、こんな方法で驚かせることもできるのか」と感心することしきりです。
乾くるみ氏の『イニシエーション・ラブ』が映画化されたのなら(あ、そういえば見てないな、結局どうだったんだろうあれ)、これを映画化してみよう、という蛮勇を振るう人がこの世の中に一人くらいいたりいなかったりしてもいいんじゃないだろうか……(いないな)。
……一節引用してみようと思ったのですが、それだけでいろいろばれそうなのでやめときます。